2017~ あきる野石版石プロジェクト アートスタジオ五日市

2017~ あきる野石版石プロジェクト アートスタジオ五日市

 

あきる野石版石プロジェクト

リトグラフ(石版画)は 18 世紀ドイツのアロイス・ゼネフェルダーが発明し、現在のオフセット印刷の原型になった技術である。これは石灰石に油性の描画材で描いた後、硝酸アラビアゴム液を塗布し、油を引き寄せる部分と反発する部分を作り、油性インクで印刷する。化学反応を利用した、いわゆる平版と言われる版画・印刷技術である。
本プロジェクトは、2017 年度あきる野市アーティスト・イン・レジデンス事業に招へいされた 3 人のアーティスト ( 滝澤 徹也・所 彰宏・李 彦蓁 ) を中心として、レジデンス期間中 (9 ~ 11 月 ) に始まった。レジデンス滞在中、地域の地質を調べている H 氏に偶然道ですれ違い、明治期に市内で石版石を採掘していたという話が在ることを伺い共にリサーチを行い、あきる野市内での明治 37 年石版石生産の記述を入手し、また転石を採取した。
転石は板状に切り出し、石版画の専門家である武蔵野美術大学版画研究室教授遠藤竜太氏・准教授 元田久治氏にご協力いただき、石を研磨し、描画、製版を行う。硝酸アラビアゴムを塗布する。石灰質と酸が反応し、描いた部分が油を引き寄せる脂肪酸カルシウムとなり、描いてない部分は保水膜を形成する。これに製版インクを盛り製版作業は完了した。次にプレス機を用いて刷り。関係者、半信半疑不安と期待の中、驚くほどスムーズに刷れてしまった。
あきる野産天然石版画 ( リトグラフ ) は従来のリトグラフと異なり、天然石の形を版の形として生かすことが可能になり、石の目の表情を生かすことも消すことも可能になるなど、より多彩で自由な表現が可能になることが特徴としてあげられる。これをいかしたプロジェクト展開中である。

広報物

あきる野市寄贈作品(滝澤徹也)

昔の軍道紙(昭和29年以前、高野源吾家に保管されていた、埼玉県小川町からの技術導入以前の形式、小判の軍道紙)を顕微鏡撮影し銅版画としてあきる野の土で刷る(写真左)

オープンスタジオの際、来場者に石版石を触っていただき、その油脂分による痕跡を軍道紙にあきる野の土で刷る(写真右)

石版石と寝食を共にし、その油脂分の痕跡をあきる野の土で刷る

 

 

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